特集

防災力をアップデート
最新の防災事情をプロに学ぼう

 地震や豪雨、台風といった自然災害は、私たちの身近にいつ起きてもおかしくありません。佐伯市は南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域にも指定されており、万が一の時の備えや心構えは大切です。災害が起きた時に適切な行動が起こせるように、またライフラインが止まっても慌てずにすむように、日々進化している防災知識を身につけ、防災力をアップデートしましょう。

柴田 真佑さん

 復興食堂「志縁や」、ボランティアグループ「暮らしつなぎ隊」代表。東日本大震災以降、本格的に被災地でのボランティア活動をスタートし、防災士を取得。
 全国の被災地の避難所50か所以上をまわってきた経験を踏まえ、防災活動へ熱心に取り組んでいる。

工藤 克史さん

 テントテントツアーズ代表。様々な自然をフィールドとして、子どもたちを対象とした野外教育や自然体験活動に力を注いでいる。アウトドアの知識を生かした防災の講習会なども行っている。

1 普段からできる防災の心構え

柴田 防災の知識をもっている人は多いのですが、〝知っている〞だけではいざという時には役に立ちません。まずは実際に、非常時持ち出し袋を準備してみましょう。準備をすればするほど、心の準備もできます。
 さらに、避難場所や経路を確認しておく、家具や電化製品が倒れないよう対策をしておく、家庭や職場で安否確認の方法や集合場所を話し合っておくことも大切です。固定電話や携帯電話がつながりにくい状況での安否確認の方法としては、「災害用伝言ダイヤル《171》」「災害用伝言板(web171)」があります。安否確認をしたい人と、事前にシステムを確認しておくと良いでしょう。

工藤 防災の備えとして、アウトドアの経験や知識もいざという時には役に立ちます。普段アウトドアをしない人にはハードルが高いかもしれませんが、日常的に家の中でしていることを、ピクニック気分で外に出て行ってみましょう。コーヒー1杯を飲む、おやつを食べる、1食野外で食べてみるなど、ささいなことで構いません。自然の中が難しい場合はベランダでも良いので、普段と違う環境で過ごしてみると、足りない物が分かり、いざという時に慌てない心構えが備わります。

2 昔と今で違う防災知識

柴田 以前は非常時持ち出し袋の代表的な存在であった乾パンですが、いざ避難所へ行ってみると、乾パンを食べている人を目にする機会はほとんどありません。心配事や心痛が多い避難所では食欲も落ちるため、喉を通りやすい食品がおすすめです。
 レトルト食品や保存食品も増えていますが、普段食べ慣れていない物はなかなか口に合いません。おすすめなのが、日常的に食べている梅干し、みそ、いりこです。配給されるおにぎりに添えるだけでも良いおかずになり、整腸作用や熱中症予防も期待できます。避難生活が長くなるとイライラが募り、ストレスで胃腸の調子を崩すことがありますが、そんな時の栄養補給にもなります。何より佐伯の特産であるいりこの香りをかぐと、安心感を得ることができます。

3 ライフラインが止まったら・・・!

柴田 生活様式が変わって、特に災害時に困るのが、水洗トイレの水が流せなくなることです。災害時や避難生活では健康状態が悪くなり、体力が落ちますが、食べることと同じくらい出す(排せつできる)環境づくりがポイントです。普段から家庭のトイレや洗面所には、ポリタンクに水を入れて準備しておくと安心です。
  
工藤 現代の暮らしに欠かせないのがスマートフォンです。停電が起きると充電もままならず、スマホの画面を見られない時間が長引く可能性があります。スマホをできるだけ長い時間使える状況にしておくための充電器やモバイルバッテリーを用意しておきましょう。
 被災地や避難所では、周りの人と話し、不安を吐き出すことも必要です。普段からスマホから少し離れて、近くを散歩したり近所の人と時間を作るなどコミュニケーション力を養うことも、いざという時に役立つ防災活動だと言えます。

柴田 いつどこで被災するかは誰にも分かりません。まずは実際に自分の住んでいる地域の避難場所まで行ってみて、避難訓練の機会があれば真剣に取り組みましょう。避難して終わりではなく、「避難したところから生き抜いていく生活が始まる」のだということを心にとどめておいて欲しいです。

非常時持ち出し袋を見直してみよう

 自宅に用意している非常時持ち出し袋の中身を、改めて見直してみませんか?「まだ用意していない」という人も、これを機会に準備しておきましょう。最近では防災に使えるアウトドアグッズも充実しています。

ポイント

・被災地域にもよりますが、平均3日間分の備えをしておくと◎!

・体温管理に加えて欠かせないのが、水分補給です。飲料水は、喉が渇きやすいスポーツ飲料ではなく水が良いとされています。喉に通りやすく手軽に栄養が取れるゼリー飲料も、用意しておくと安心です。

・レトルト食品やアルファ化米のほかに、普段食べ慣れている梅干しやいりこを入れておくと役立ちます。

・軽くて乾きやすい手ぬぐいは様々な用途に使用できます。タオルの代わりに数枚準備をしておくと活躍します。

アウトドア力が役に立つ! 防災に使えるキャンプグッズ

モバイル
バッテリー

大と小を用意しておくと、停電が長引いた時に携帯電話の充電ができます。太陽光式のモバイルバッテリーも役立ちます。

ヘッドライト

頭に付けて行動できるので避難時に両手が使えて便利です。色々な所に掛けられ、充電式タイプが多いのも◎。

寝 袋

夏場でも夜は下からの冷気があるので、マット代わりにもできる冬用を1つ用意しておくと心強いです。避難生活では体温管理がとても大事になってきます。

南海トラフ地震を想定して、防災協定を結んでいます

 佐伯市と山間部施設の指定管理者は、災害時に避難施設として使用できるよう防災協定を結んでいます。また「直川憩いの森公園キャンプ場」(直川赤木1262 📞58-2517)は、地震だけでなく風水害の指定緊急避難場所にも指定されています。

【山間部避難施設】直川憩の森公園キャンプ場 うめキャンプ村そらのほとり 道の駅やよい

もしもの時に逃げ遅れないために長島防災高台を知る!

 市街地は海抜が低く、ほぼ全域が浸水想定区域となっていることから緊急避難場所「長島防災高台」(長島町4丁目6638番地1)があります。実際にどんな場所でどんな設備があるか見てみましょう。

[想定避難者数] 2,660人
[海 抜] 9m

いざ災害が起きたら、まずは命を守る行動を優先させましょう。いつどこで地震が起きるかは分かりません。
自宅のまわりや通勤通学途中などの「津波避難場所」を確認し、家族や地域で避難の方法を考えておきましょう。

お問合せ

防災危機管理課(本庁舎5階81番窓口)📞22-4578

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