特集

地域×10代

「なにもない」から「つくる」に変える
地域×10代

「地元には何もないから…」
「何となく面白くない毎日」

そんなため息をついている10代がいたら、まずは自分の住んでいる地域を見つめてみませんか。
10代のパワーやアイディアをいかして、大人と一緒に地域を元気に。
佐伯市では今、そんな取組が広がっています。

“カフェプラスワン”から始まる
創造力とつながり
未来が楽しみと思えるまちに

失敗も含めて経験!
チャレンジする気持ちを応援したい

 市や大分県では、大人とこどもが手を取り合って活動をすることで、こどもの学びや成長を応援しています。

 地域課題を解決するため、有志職員による”若手・中堅職員政策提案プロジェクト”で、令和3年度に「KIISA PROJECT~高校生とまちをつなぐ、未来に向けた取り組み」が採択されました。その取組を実現する民間法人として(一社)KIISAを設立。令和5 年5月に、まちの新たな居場所として「cafe+community KIISA」が大手町にオープンしました。「KIISA」はカフェでありながら、幅広い世代の人がつながる拠点としての機能をもつ場所。中高生が普段接する機会の少ない大人と出会い、いろいろな話を聞いたり、体験をしたり、知識や文化に触れるきっかけになればという思いが込められています。

 「失敗するかもしれない、上手くいかないかもともしもを考え出すと中々その一歩が重たくなると思います。KIISAは踏み出す一歩を支えたり、伴走する存在でありたいと思っています。いざ取り組んでみたら案外できたり、その中で沢山の気付きも得られるので、“見守る・任せる・体験させる”応援をしていきたいです」と理事の河野功寛さんは話します。

若者が自分たちでイベントを企画し
“ゼロ”からつくる貴重な経験も

 「KIISA」では年間を通じて様々なイベントを行っています。学生が主体となって“ゼロ”から企画を実施した案件もあり、まわりに相談したり悩んだりもしながら、自らの力で少しずつ目標に向かって進みます。

 

 そんなイベントの1つが、今年3月に開いた「クリームソーダ」です。実行委員の大野格さんは、「KIISA」のイベントに参加したことでこの場所を知ったそう。

 

「佐伯市には高校が3校ありますが、他校の人と交流がないので、交流ができるイベントをやってみたいと思い企画しました」ときっかけを話します。企画をする中で大変だったのは、最初に予定していたゲーム大会のイベントができなくなったこと。「まわりの学生に呼びかけて、アイデアを出してもらいました。そこでみんなの協力があったから、壁を乗り越えることができました」。学生から出たアイデアは、ワークショップや卓上ゲーム、オリジナルキーホルダー製作など様々。飲食店への出店交渉なども自分たちで行うなど、時間がない中でも力を合わせて作りあげていきました。「告知はインスタグラムで行いましたが、当日は幅広い世代の人が来てくれて大盛況!予想を大きく上回る150人もの人数だったので、うれしかったですね」と頬を緩ませる大野さん。イベントをきっかけに、 企画や準備で他校の人との交流ができたことな ど、この経験を糧に今後もいろいろなことに挑戦 したいと言います。

大人と触れ合うことが
自身の学びと成長に

 「大人と話すことが貴重な経験になったので、もっとこんな機会を持ちたいと思いました」と大野さんが振り返るように、「KIISA」はこどもたちがいろいろな大人と出会える場所。「家庭や学校ではない場所で、普段出会わない大人に会って話すことや知り得ない情報に出会うことが大切です。たとえば将来の進路を考えたり就職活動をしたりするときにも、何か良いきっかけを与えてくれるかもしれません。そして、自分の住んでいるまちを改めて知る入り口になれば」と河野さん。「ここが中高生の居場所の1つになってほしいですね。やってみたいことがある子もない子も大歓迎です。まずは構えることなく、気軽に足を運んでもらえたら」代表理事の富崎一真さんもそう話します。

cafr+community KIISA(キーサ)

佐伯市大手町3-5-7 2階
運営:一般社団法人KIISA 📞090-7474-8774(富崎)

お問合せ

地域振興課(本庁舎2階40番窓口)

📞22-3033

 地元の中高生が中心となって企画運営するイベント「SAKUフェス」。ダンスやバンド演奏などのステージイベントが行われ、中高生の活動発表の場として盛り上がりを見せています。

 

 

 

地域の大人が手を取り輝く若者をサポート

 「SAKUフェス」は、「さいき城山桜ホール」で令和4年から開かれている、中高生主体のイベント。主催も参加者も10代が中心という“若者による若者のためのイベント”が今年で3年目を迎え、地域に浸透しつつあります。

 「コロナ禍で学校の行事やこどもたちの発表の場が減った中、地域や学校の垣根を越えた活動の場をつくりたいという中高生の声からスタートしたイベントです」と武石佳さん。イベントの実行委員会は、中高生がつくるボランテアメンバー。演目はカラオケやダンス、バンド演奏のほか書道パフォーマンスやけん玉など多種多様。市外からの参加者も増え、それに伴い来場者も年々多くなりにぎわっています。

 「市内のPTAの協力で企業からの協賛も増えていて、地域の大人たちの見守りやサポートを感じます。みんなで若者を応援したいという前向きな輪が広がっていますね」そう武石さんは話します。同ホールの職員も学生と関わることで、その集中力や行動力、企画力には刺激を受けることがたくさんあるそう。また、桜ホールでは「舞台技術ワークショップ」の企画(7月27日・28日開催)もあり、照明や舞台のセット、音響など専門家から技術を学ぶプログラムもあります。舞台技術を習得した若者が、SAKUフェスなどのイベントで裏方スタッフとして活躍することも可能です。市民の憩いと交流の場でもある「さいき城山桜ホール」を拠点に、10代と大人、そして地域が手を取りながら、若者の未来を応援しています。

 

 

考えるよりまずは行動!
イベントを通じて学生自身も変化

 青木将叶さんが「SAKUフェス」の運営に携わったのは2年前。最初はボランティアで参加して興味を持ったことから、毎年参加するようになったといいます。「普段の生活ではイベントの企画や運営をすることはないのでとても新鮮で、いろんな人と話すのも楽しいですね」

ステージ発表の流れを組み立てたり、サポーターの人と打ち合わせたりと、大変なこともあった分、やりがいもひとしおだったそう。「この経験を終えて、考えるよりまずは行動をする癖がついたこと、企画や計画をする習慣ができたこと、人とコミュニケーションをとる力が養われたことなど、たくさんの良かったことがあります」と話します。

 若い世代と大人が出会うきっかけになる場所「KIISA」と、様々な世代の交流の場である「さいき城山桜ホール」。この2つをはじめ、まちのいろんな場所であらゆる世代が触れ合うことで、目指すのは未来に楽しみや可能性が感じられるまち。地域のこどもたちが活気づくとその輪は大人にも広がり、まち全体が元気になっていきます。

 

 

お問合せ

文化芸術交流課・さいき城山桜ホール係

📞24-2228

ピックアップ記事