特集

認知症をもっと話そうもっと知ろう

 厚生労働省によると、日本における認知症高齢者の数は2025年には約700万人に達し、65歳以上の約5人に1人が認知症になると見込まれています。また最近では、若年性認知症という言葉も聞かれるようになり、他人ごとではなく自分ごととして捉えることが大切になっています。
 2024年1月1日に施行された「認知症基本法」をご存じですか?これからの時代に大切なのは、適切な医療サービスや地域のサポートを受けながら、認知症の人が明るく前向きに社会と関わること。市でも本人と周囲の人が安心して暮らせる社会の実現へ向けて、具体的な取組を進めています。

※「認知症基本法」
共生社会の実現を推進するための認知症基本法には、高齢化が進む中、認知症の人が増えている現状を踏まえ、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らせることを目的に理念が定められています。

認知症ともの忘れの違いは?

認知症による記憶障害は、体験したことを忘れてしまうことです。
一方、体験したことは覚えていても部分的に思い出せないのは、加齢によるもの忘れといわれています。

こんな時はどうする?

 接する時に心得たいのは「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」の3つ。本人の思いに寄り添い、できるだけ否定的な言葉をかけないことで、症状の進行が抑えられて周囲の負担が軽減されます。

[ケース 1]何度も同じことを聞いたり話したりする。

対応例

・何度も聞いた話や質問でも、初めて聞いたつもりで接しましょう。

・日課を決めて、毎日を楽しんでもらいましょう。新聞やカレンダーではなく、曜日を意識して、生活リズムを作りましょう。

[ケース 2]食事をしたことを忘れ、食べていないと言い張る。

対応例

・「今作っていますから、このおいしいお菓子とお茶を飲んで待っていてくださいね」と声を掛けましょう。

・「お腹が空いている」という主張を受け入れ、話をしたり、ほかに関心が向くようにしてみましょう。

ほかにも様々な事例と対応の方法があります。詳しくは「認知症ケアパス」をご覧ください。

「認知症ケアパス」はこちらから

認知症カフェをご存じですか?

 認知症の人やその家族、地域住民、専門職の人など、誰でも気軽に集まれる場所が「認知症カフェ」。全国で「オレンジカフェ」とも呼ばれています。市には2つのカフェがオープンしており、地域の大切な場になっています。

[開店日] 毎月第1・3日曜日
[時間] 10時30分 ▶ 11時30分

 医療・介護職の有志でオレンジカフェを開いたのは10年前。認知症の人やその家族、医師、ケアマネ、家族会、また高校生などのボランティア、地域の高齢者や生きづらさを抱えている人も集まれる場所として始まりました。現在はより広い間口で「ごちゃまぜカフェ」という名称で開催しており、活動が終わった後に一緒にカレーを食べたり、認知症に限らず医療介護の相談コーナーを設けています。
 人生100年時代で高齢期が長くなった今、認知症は誰もがなりうるもの。たとえ診断されたとしても、その人自身が変わるわけではありません。ここではみんなが「さん」づけで呼び合い、支援する側・される側に分けずに、1人の「ひと」として過ごし、元気が循環することに重きを置いています。認知症の人が生きやすい地域は、こどもやいずれ老後を迎える私たちにとっても生きやすい地域なのです。一人ひとりが尊厳を持って活躍できる共生社会のモデルハウスに、このカフェがなると良いなと思います。

[開店日] 毎月最終週土曜日
[時間] 10時 ▶ 12時

 県認知症疾患医療センターの認定を受けている「長門記念病院」が運営していることから、作業療法士や精神保健福祉士や病院事務、老人保健施設スタッフといった医療介護従事者が常駐しているのが特徴です。
 目指しているのは、認知症の人や家族だけに限らず、地域の人が気軽に集まってほかの人と話したり社会とつながることができる場所。現在は、当院の高齢者住宅に住んでいる人や外来に通っている人もカフェを利用しています。カフェでは認知症の個別相談や講話を受講できるのはもちろん、折り紙や小物作りなど手先を使った工作、ハンドマッサージのボランティア、作業療法士による認知症予防体操、タブレットを使った簡易認知症チェックなど、進行を遅らせたり、予防のために今できることも行っています。地域のボランティアの人もおり、活動中はお茶を飲んでお菓子を食べるなど、和気あいあいと過ごしてもらうことを心がけています。

地域で安心して過ごせる支援

 認知症の人を見守り、ともに生きる社会をつくっていくためには、家族だけではなく地域の力が必要です。本人も家族も、地域のサポートがあってこそ前へ進んでいくことができます。

佐伯市SOSネットワーク事業に登録しませんか?

 認知症などにより行方不明になるおそれのある人について、関係機関と連携し、行方不明になった時に早期発見・保護するための仕組みが「佐伯市SOSネットワーク事業」です。事前登録を希望する人は、「登録届」を地域包括ケア推進係に提出ください。また、事業に協力できる市内の事業所も募集しています。

認知症高齢者等見守り二次元コードシール交付事業も活用ください!

 認知症などにより、行方不明となるおそれのある人の衣服や持ち物に二次元コードシールを貼ります。行方不明になった時は、発見者がそれを読み取って情報を家族などと共有でき、早期発見・保護につながります。シール配布の対象は「佐伯市SOSネットワーク事業」の登録者で、初回配布分(30枚)は無料です。

介護予防&認知症サポーター養成講座を開催します

 フレイル(※)予防などの知識を学び、地域に広める介護予防サポーター。また、認知症を正しく理解し、家族まで温かく見守る応援者が認知症サポーターです。興味のある人は、養成講座へ参加ください。

※フレイル…加齢とともに、体や心のはたらきや社会的なつながりが弱くなった状態

お問合せ

高齢者福祉課 地域包括ケア推進係(和楽3階)📞23-1622

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