
畑で育てた野菜は、みずみずしく新鮮なのはもちろん、愛情たっぷりでおいしさもひとしお。普段の暮らしで光を浴び、土に触れる時間をもつと、心も体も癒やされて気分転換にもつながります。今回は土づくりの中でも、さいきオーガニックシティをキーワードに、有機栽培についてクローズアップ。心も体も喜ぶ野菜づくり生活、今すぐ始めてみませんか?

市で“有機農業の第一人者”として知られる渡邉 英征さんに、家庭でできる有機栽培を意識した土作りのポイントや栽培方法について教えてもらいました。


渡辺農園 渡邉 英征さん
サラリーマン時代に趣味で洋蘭を栽培していた時、農薬で体調を崩したことをきっかけに自然栽培に目覚める。60歳から本格的に野菜の有機栽培をスタート。現在は「渡辺農園」(木立地区)で、有機JAS認証の野菜やエディブルフラワー(食用花)を栽培し、学校給食にも野菜を納めている。また、女島第二市民ふれあい農園では、講演会の講師を務め、有機農業の普及活動にも力も入れている。
有機農業とは
化学的に合成された肥料や農薬を使用しないこと、ならびに遺伝子組換え技術を利用しないことが基本。環境への負荷をできる限り減らした農業のことを言います。有機JAS認証を取得した有機農産物は、より厳しい基準をクリアしています。
【しつもん1】渡邉さんの土作りのポイントは?

おいしい野菜を育てるための土のキーワードは、菌とアミノ酸です。私はおからや米ぬか、腐葉土、笹の葉などを合わせたぼかし肥料に、魚粉や貝殻、海藻といった海と山のミネラルを加えて有機肥料を作ります。腐葉土とは枯れ葉を虫や菌などが長時間かけて分解したもの。最近はEM菌など様々な菌が売られていますが、その土地にあるものが、一番合っていると思っています。自宅に庭があれば、庭の枯れ葉が集まっている所に良い菌がたくさん付いています。竹林の笹の葉も同じです。
おいしい野菜を育てるのは、土作りが一番!土がきちんとできれば、50%は成功したと言っても過言ではありません。
【しつもん2】家庭でできる土作りのコツは?
まずは、市販の培養土を使用してください。土作りに挑戦したい人は、土に腐葉土、笹の葉、米ぬかを混ぜて、1か月ほど寝かせます。握ると手からパラッと落ちるくらいが目安で、夏は水分少なめ、冬はしっとりした感触になるくらいが良いと思います。

【しつもん3】今から植えるならどんな野菜?
6月に種が蒔ける野菜は、ホウレン草、サニーレタス、スイスチャード、ニンジン、オクラ、枝豆、ラディッシュ、チンゲンサイ、キュウリなど結構多いですね。
種を購入の際は、必ず播種期間を確認してください。
苗で植え付けできる野菜は、カボチャ、ピーマン、ミニトマト、キャベツ、マクワウリなどがあります。
種と苗を比べると、育てやすいのは苗ですが、有機栽培にこだわりたい場合は、種からチャレンジしても良いですね。

【しつもん4】いざ植えたら、気をつけることは?
簡単そうで難しいのは、水管理ではないでしょうか。水をたっぷりあげた方が良い野菜、逆に少ない方が良い野菜があるので、それぞれの特性に合わせて管理しましょう。草が生えないようにするためには、白黒マルチを敷くのも良いですね。
【しつもん5】虫が心配・・・!
当農園では、この時期アオムシやヨトウムシ、ウリハムシなどが大切な葉っぱをかじってしまいます。被害を抑えるため、防虫ネットによる被覆や生物農薬(BT剤)を使用しています。
【しつもん6】揃えておきたい道具は?

ジョウロやスコップまたは移植ごて、土ふるいでしょうか。あまり多く持たなくても良いですし、安価なもので良いです。
【しつもん7】追肥をあげた方がいいの?
植物の元気がない、葉っぱが黄色くなっているときは、病気や水の不足またはやりすぎ、肥料やミネラルが足りないなどの原因が考えられます。これまでの天候や与えた水、肥料と植物の様子をよく観察してみると足りないものが分かります。
例えば、肥料が足りない場合は、「鶏糞」や「油かす」を追肥として与えると、しばらくして改善する場合があります。注意する点は、肥料成分が多いため、与えすぎると土や植物に障害が発生する場合があります。株元から少し離して、少しずつ与えましょう。
【しつもん8】おすすめ料理は?
自然な栽培方法で育った野菜は元気で味そのものが濃いので、シンプルな料理でもおいしくいただけます。例えば、水菜は刻んでゴマやかつお節と炒めたり、小松菜と塩昆布を炒めたりするのもおすすめです。

「自宅での有機栽培はハードルが高い」と思ったら、貸し農園でチャレンジしてみませんか?毎月1回渡邉さん(P2-3)の講習会も受けられ、疑問点や不安が早めに解消できます。周りの人との交流も、やる気や楽しみにつながります。
【貸し農園】
女島第二市民ふれあい農園(有機栽培専用の農園)


自分で育てた野菜をおいしそうに食べるこどもの笑顔がうれしいです!

現在は、イチゴ・ジャガイモ・キュウリ・トマト・スイカ・カボチャ・キャベツ・ネギなど、食べる分だけ少量多品目で栽培。
こどもの食育のため、普段スーパーで並んでいる野菜ではなく、どんな風に農作物が育つのかを教えてあげたいと思い野菜づくりを始めました。こどものことを考え、より安全で安心な野菜を育ててみたかったため、女島第二市民ふれあい農園でチャレンジすることにしました。
仕事が休みの週1回ほど家族で足を運んで、農作物の成長を見たり、ダンゴムシを見つけて遊んだりと土に親しんでいます。
農園では周りの生産者との交流もあり、どんな野菜を植えるのか、植える時期、土作りや害虫対策などを教えてもらい、とても勉強になります。
自分で収穫した野菜をおいしそうに食べるこどもを見ると、良い食育になっていると感じます。土や草木に触れながら家族で過ごす時間はとても楽しく、気分もリフレッシュできます。女島第二市民ふれあい農園には水道や道具もあり特に準備物も要らないので、初めてでも気軽に始められます。
【DATE】
住所…女島7459
面積…2,877㎡
区画割…38区画
1 区画面積…45㎡
年間利用料…4,610円



女島第二市民ふれあい農園利用者向けに、野菜作りの講習会を定期的に開催
お問合せ
農政課 有機農業推進係(本庁舎3階59番窓口)
📞22-4229
【貸し農園】女島第一市民ふれあい農園

初めて野菜づくりに挑戦する人や、有機栽培の前にまず畑作業を体験してみたい人は、こちらのふれあい農園からスタートしてみましょう。

【DATE】
住所…女島7545
面積…1,186㎡
区画割…34区画
1 区画面積…22㎡
年間利用料…2,050円

お問合せ
農政課 園芸振興係(本庁舎3階59番窓口)
📞22-3239
【貸し農園】亀の甲なおかわ

四季折々の草花が楽しめる遊歩道がある、公園内の貸し農園。自然豊かな環境の中で野菜づくりができて、心身をリフレッシュできます。農機具や水道設備なども備わっているので、ビギナーでも安心。

【DATE】
住所…直川横川789-1
面積…1,100㎡ ※区画面積の合計
区画割…25㎡ 32区画、100㎡ 3区画
1 区画面積…25㎡、100㎡
年間利用料…25㎡年間2,080円、100㎡ 年間8,370円

お問合せ
直川振興局地域振興課📞58-2111
佐伯市ファーマーズスクール

有機栽培の野菜、イチゴ(ベリーツ)、ニラ、スイートピー、ホオズキ、キク、トルコギキョウ、ハウスミカンを推進品目として、就農コーチ(ベテラン農家)のもとで栽培や経営技術を学べます。2年間の研修後すぐに新規就農できるよう、就農準備へ向けてサポートしています。詳しい要件など、興味のある人は直接問い合わせください。
お問合せ
農政課 園芸振興係(本庁舎3階59番窓口)
📞22-3239
さいきの恵み農産物認証制度

化学合成農薬、化学肥料、除草剤を使用せず、自然に優しい栽培方法で育てられた農産物は「さいきの恵み農産物」として市より認証されます。認証を取得した農産物は、市内の小・中学校の給食でも利用されています。また、道の駅やよいなどでも販売していますので、ぜひ、お買い求めください。
お問合せ
農政課 有機農業推進係(本庁舎3階59番窓口)
📞22-4229