特集

地域で広がる国際交流と多文化共生

▲令和6年度 ニンビン省との交流事業11/15~17に市内高校3校と交流

 市では、異文化に触れてグローバルな視野を育て、未来へ向けてより活気のあるまちづくりのために、文化・教育・経済・観光など多文化共生に向け、幅広い分野でのグローバル化を推進しています。姉妹都市のオーストラリアのグラッドストン市や、令和5年3月に友好交流協定を締結したベトナムニンビン省との交流も行われ、市内では国際交流員や外国人技能実習生なども活躍しています。地域レベルでの交流は、諸外国とのつながりを深める上で重要です。来年には日本語学校も開校予定。市民の皆さんが様々な国の文化に触れる機会の構築や、外国人材を活用した地域活性化への取組が行われています。

佐伯に日本語学校が誕生!

 佐伯市蟹田の旧佐伯税務署跡に「佐伯民際日本語学校」が来年開校予定です。この日本語学校は、海外からの留学生を受け入れて2年間の日本語教育を行うことにより、日本語と日本文化を理解した学生を育成する学校です。また、学校の運営だけではなく、市と締結した包括連携協定に基づき、多文化共生社会の実現や地域の人材育成、観光・地域振興などに取り組んでいきます。

 昨年ニンビン省を訪れた高校生と、今年11月にニンビン省から佐伯を訪れた高校生。若い感性とやる気に満ちた学校交流、異文化体験の様子を紹介します。

ニンビン省は人もまちも元気!佐伯や日本文化の魅力も発信

 ニンビン省で学校の授業に参加した時は、学生たちがジェンダーや社会問題について自分の意見を持っていることに刺激を受けました。交流会ではベトナムの高校生と一緒に踊ったりアオザイを着たり、佐伯の海産物や城山、また、アニメや浴衣などの日本文化も紹介しました。

 ニンビン省の学生は学校の授業はもちろん行事にも積極的で、まちも活気がありました。海外は大人になっても行けますが、大勢の同世代の人と交流できる機会は今しかありません。数日間滞在するだけで英語の苦手意識もなくなるので、少しでも興味がある人は参加をおすすめします。将来は外国人向けに佐伯の魅力をPRできる職に就きたいという夢ができました。

▲ベトナムの高校生と有意義な授業を経験
▲浴衣で日本文化を紹介

昨年の交流事業をきっかけに日本の学校生活にも興味

 昨年の交流事業で来てくれた佐伯の高校生と友だちになったのがきっかけで、日本がますます好きになりました。今回は実際に自分が日本に行き、日本の文化に触れ、高校生の通学や勉強方法など普段の生活も知りたいと思い、交流事業に参加しました。

 ベトナムは世界遺産がある素敵なところで、なかでもチャンアンはおすすめ。観光や文化など、お互いの国の情報を皆さんとSNSなどでシェアできるとうれしいです。

▲日本文理大学附属高等学校生、佐伯豊南高等学校生と、e-スポーツで交流
▲佐伯豊南高等学校生、日本文理大学附属高等学校生と、さいき城山桜ホール周辺をロゲイニング※1

※1 ナビゲーションスポーツの一つで、地図をもとにチェックポイントを回り、チェックポイントを回った証拠として写真を撮り、得点を集めるスポーツ。

 市内の高校生たちは11月に来日したニンビン省の高校生と交流を図り、世界とつながるグローバルな視点を育むことができました。市ではこれからも様々な国際交流を進め、グローバルな分野で活躍する人材育成に取り組んでいきます。

産業を支える力が、未来のまちを活気づける

 佐伯の産業振興に貢献している外国人技能実習生。その素顔や地域との交流の様子、企業のリアルな声、また橋渡しに尽力する商工会の思いをクローズアップしました。 

 「マルサン商店」でイワシやアジの選別や洗浄、検品やパック詰めをしています。社員の皆さんから教えてもらって仕事内容を覚えていきました。社長のお母さんから日本語や日本の文化を学んでいますが、もっと日本語が上手になりたくて、仕事が終わった後も4時間ほど漢字や文法の勉強をしています。

 休日は日本語の勉強をすることが多いですが、海沿いを散歩したり地域の祭りに行ったりすることもあります。また、インドネシアと米水津は食べる魚の種類が違うのも面白く、米水津の魚はとてもおいしいです。自分でも焼いて食べることがあります。先日は米水津ふるさと文化祭でスピーチをさせてもらいましたが、その時にこどもたちが着物で日本舞踊を踊る様子を見て、私も着物を着てみたいなと思いました。ここでの経験をいかして、将来はインドネシアに戻り、外国人技能実習生として日本で実習したい人へ日本語を教える日本語教師になるのが目標です。

 外国人技能実習生を受け入れ始めたのは、実習生の必要性を感じるようになった14年ほど前からで、現在は9人の実習生がいます。受け入れにあたって整備したのは専用の寮で、寮のトイレもきれいに整備しました。実際に受け入れてからは、日本のインターンシップのような感じで教えることが多く、自分の成長にもつながります。また、宗教の違いで口にできない食べ物があったり、お祈りの時間があったりと、実習生と接することで、互いの国の文化や考え方の違いがあることを学び、視野が広がりました。イダさんはまじめで日本語の上達も早く、他の実習生と社員との間に立ってくれることもあり、共生社会の大切さを感じます。

 米水津や蒲江など海岸部の企業から、希望する実習生の人数や国籍、作業内容などを聞いて、送り出し機関からの外国人技能実習生を橋渡ししています。現在は海岸部の企業で働く実習生が66人いますが、仕事や暮らしの困りごとから防災のこと、また企業に対してもトラブルがないかなど、広くサポートを担っています。根底にあるのは、地元で減少してきた産業の力の確保。地域の企業は2代目、3代目が受け継いで頑張っているところも多く、貴重な産業を次世代へつないでいくためにも実習生の力が必要です。実習生にとっても、日本人ならではの繊細な手仕事を学べる良い機会。海外の人の住みやすさは日本人の住みやすさを意味するので、様々な面で地域に活気が生まれるはずです。

外国人技能実習生とは

 開発途上国の経済発展や人づくりを担うため、外国人の技能実習生を受け入れ、日本の企業で技術や知識を身に付け、母国の発展に活躍してもらう仕組み。期間は最長5年で、実習生は入国後に1か月間、日本語などの講習を受けてから企業での実習が始まります。企業の人材確保を目的として、より専門的な知識や技能をもつ外国人を受け入れる「特定技能制度」もあります。

今年8月国際交流員が着任しました

 平成17年の市制施行後初めての国際交流員が、2人着任しました。海外からの訪問客の接遇や外国人住民の生活支援活動など、幅広い交流業務を行っていきます。ともに20代の若いパワーをいかしながら、佐伯と世界を結んでくれます。

Kate Alessia Maccaroneさん
(ケイト アレッシア マカロン)

 日本が好きな母親の影響から日本に興味を持ちました。高校の時には、熊本に留学し、また、大学を休学して福岡の日本語学校に入学するなど、日本語や日本の文化を学びました。まず印象的だったのが、日本語の美しさ。佐伯に来て好きになったのは「因尾茶」で、香りの良さとおいしさに驚きました。趣味はサッカーや筋トレなど体を動かすことで、動物やこどもも大好き。母国のオーストラリアの文化ももっと知ってもらいたいので、気軽に声を掛けてください。

Nguyen Thanh Datさん
(グエン タイン ダット)

 ベトナムには日本の企業がたくさんあって小さい頃から親近感があり、2022年に大阪の大学に留学して日本語を学びました。佐伯市にはベトナム出身の人が150人ほど住んでいるので、ベトナム人と日本人が互いにコミュニケーションをとって、働きやすくなるような架け橋になれたらと思っています。今後はベトナム語講座や文化体験などの活動に取り組んでいきたいです。自然豊かできれいな佐伯から広がる交流が楽しみです。

出前講座

 交流員は、地域の交流活動や学校での出前講座にも参加して国際交流を図ります。今回は、佐伯東小学校3年生のクラスへ。まずは自己紹介や自国の紹介をして、こどもたちに海外に興味を持ってもらい、すごろくゲームなどをしながらコミュニケーションをとりました。こどもたちは大好きな英語がますます好きになったようで、グローバルな視野をもつ未来の力に期待が高まります。

国際交流員を派遣します

市内の学校などにおける国際交流の輪を広げる活動に、国際交流員を派遣します。
派遣する場所は学校、サークル、イベントなど様々。詳しくは市ホームページを参照ください。

詳しくはこちら

お問合せ

観光・国際交流課 国際交流係(本庁舎2階38番窓口)

📞22-4623

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