LIVE このまちで、最高のライブ体験を届けたい
「若音」の始まりは令和3年、市の若手・中堅職員による政策提案プロジェクトからスタート。その根底には、提案者で現実行委員長を務める市職員の林 真平さんが、若者の市外流出や人口減に危機感を抱き、「佐伯を若者にとって楽しいまちにしたい」という思いがあったと言います。市内の高校生およそ1,500人にライブ体験のニーズがあるかアンケートを行ったところ「中々ライブに行く機会がないので、佐伯市で見られるなら応援する!」「地方はライブが少ないので、絶対行きたい!」「疲れを吹き飛ばすアーティストの声を聞かせてください」など熱望の声が多く寄せられました。そこから「若者による、若者のためのアーティストライブ」が誕生しました。

「若音」を通じた作り手の学び
「若音」の企画・運営は、地元を中心とした若者で、今年の実行委員は、高校生12人を含む24人。高校生の意見が主体で、大人の実行委員がサポートしながら、アーティストの選定や出店交渉などを行いました。
音楽関係やイベントの裏方に興味がある実行委員の鎌田さんは、「リハーサルを間近で見られるワクワク感や、照明・音響の調整を学べたのは貴重な体験」。また音楽が好きという矢野さんは、大人たちが学生の意見を「肯定してくれる」ことに驚いたと言います。「世代の違う大人や、プロのデザイナー・クリエイターとの協議を通じて、伝える力が身に付いたように思います」。また、学校になじめなかった生徒も、共通の「好き」から仲間とつながり、佐伯にもアーティストを呼べるという成功体験を味わえたりと、若者にとって大きな体験となったようです。
音楽は、世代も立場も超える「共通言語」
「ライブは、頭をがつんと殴られたような衝撃で人生を変えるパワーがある」。林さんが語るこの言葉には、若いうちに地元で、非日常を味わうことの大切さが込められています。地元の友だちと年に一度、最高のライブを体験する。その記憶は「佐伯愛」へと昇華されます。
アーティストや実行委員のメンバー、そして地元の協賛企業。立場も年齢も、住んでいる場所も違いますが、「最高のライブをこのまちで」という一つの願いのもと、「若音」を通じてつながった経験は、まさに音楽が共通言語であることを教えてくれます。佐伯から響くその音色は、これからもまちの鼓動を強く刻み続けていくはずです。


佐伯の音楽シーンを盛り上げたい
「若音」では、同学校の軽音楽部から選抜された4人のメンバーからなる「Re: BLOOM」がオープニングアクトを担いました。ギターを「純粋にかっこいい」と手にした若林采果さんに続き、知識ゼロからベースを担った山本さくらさん、友達の演奏に心打たれスティックを握ったドラムの山田庚松さん、そして、憧れのアーティストから音楽の世界に興味を持った山本峻さん。最初は小さな好奇心でしたが、週5日の猛練習と仲間とのセッションを通じて、本番を迎えました。
若音で受けたあふれる刺激
「初めて『若音』でプロのライブを間近で見た時、衝撃を受けて、指の痛みや挫折を乗り越えられた」と話すのは若林さん。また大分発のバンド「SIX LOUNGE」のライブを見て、生の音楽を聴いたことも、メンバーの大きな刺激になったよう。「大分発のバンドでこれほどかっこいい人がいるんだ!」「ちゃんとした音楽に触れられたという感動ばかり」「プロは音作りやニュアンス、音圧から全然違って、刺激になりました!」とメンバーは感動を語っていました。
「独自の音」で全国へ、未来へ響け!自分たちの音楽
「演奏が終わると機材の撤収作業をすぐ行ったり、あいさつができるようになったり、音楽を通じて『礼儀作法』や『感謝の気持ち』を大切にする部員の姿を目にすることが増えました」と話すのは、顧問の竹ノ内 由揮先生。そんな生徒たちの姿は、地域の大人たちからも高く評価され、温かな支援の輪が広がっています。今後は同部として、市内や県南のイベントに積極的に参加するのが目標。さらに大きな野望は、県内外の音楽大会への積極的な参戦です。また、活動の核として「オリジナル楽曲の制作」にも注力。今この瞬間にしか書けない歌詞やメロディを追求し、自分たちの感性を「独自の音」として形にすることで、佐伯から全国へ通用する表現を目指しています。
「これから軽音楽部を目指す人たちには、自分の“好き”をどんどんまわりの人に伝えて、自分自身の魅力を見つけるきっかけをつくってほしいです」と若林さん。「生徒たちの熱い思いを見ていて、自分も胸が熱くなります」と竹ノ内先生も、温かい思いで部員たちの背中を押し続けます。
音楽のチカラで、世代や立場を超えてまちを盛り上げたい。その響きは、未来を照らす確かな光となっています。


PROFILE:SIX LOUNGE(シックスラウンジ)
ヤマグチユウモリ、ナガマツシンタロウ、イワオリクによる大分発スリーピースバンド。2012年結成、2018年ミニアルバム「夢うつつ」でメジャーデビュー。アニメ作品の主題歌を担当、過去曲がSNSでバイラルになるなど注目を集めている。2026年3月「マイフェイバリットソング」発売中。
SIX LOUNGE official site こちら
高校時代にバンドを結成。どんな思いで始めたのか、当時のエピソードを聞かせていただけますか?
ヤマグチ
バンドをしたくて県立芸術緑丘高校に入学。誰かドラムいるかなと思っていたら、練習室でドラムを叩いていたのが同級生の(ナガマツ)シンタロウで、誘ったのが始まりです。俺は声楽専攻で。
ナガマツ
俺は打楽器専攻。同じくバンドをやりたかったので、仲間がいてうれしかったですね。
ヤマグチ
「プロになりたい」という思いは全然なくて。
ナガマツ
とにかく「バンドやりたい」って感じでした。
イワオ
そして僕が1学年下で、チェロ専攻で入学して。その時にはもうバンドが結成されていて、(ヤマグチ)ユウモリからライブのチケットを買わされて(笑)、聴きに行ったのがSIX LOUNGEを知ったきっかけです。当時からオリジナルの曲をやっていたことに衝撃を受け、自分もやりたいなという思いがずっとあった中、メンバーチェンジがあったタイミングで誘ってもらいました。
そこから一気にデビューまで進みましたね!
ナガマツ
高校を卒業して進学せず、そのまま地元のライブハウスで活動をしていたところ、そこからインディーズでCDを出すことになったんです。
ヤマグチ
そのライブハウスとの接点は、高校生イベントに出演したのが最初かな?そのときにオーナーがパフォーマンスを見て声を掛けてくれて、高校の時からツアーバンドのオープニングアクトをやらせてもらっていました。

プロになろうと思えた瞬間は?
ヤマグチ
思いが芽生えたのは、個々のタイミングかな?俺の場合は、インディーズでたくさんのツアーを回り始めて、その収入だけで食べられるようになった時。バイトを辞めて、「もしかしたら音楽だけで食べていけるかも」という思いがちょっと芽生えたかも。

ナガマツ
俺は流れ、ですかね。流れに乗って、デビューまで行ったような。
イワオ
自分もそう。特に僕は後から入ったので、今どこでライブをやっているのかも分かっていなかったくらい、必死にやるだけでした。
ヤマグチ
でもいまだにプロとしての自覚があるかどうかと言われれば、まだそうではないかもしれない…もうちょっとプロとアマの間で揺れていたいです(笑)。
先日、大分が舞台の短編映画『デイズ~かけがえのない日々~』の主題歌を担当されましたね。その「kakegae」にはどんな思いを込めてつくったのでしょうか?
ヤマグチ
映画の主題歌はやったことがなかったので、まず台本をいただいてテンションが上がって!作曲を担当したのですが、この作品自体はもちろん、“映画のエンディングである”ということを意識してつくりました。イントロや終盤の間奏の部分とか…そういうところに俺自身のイメージを込めています。
ナガマツ
そもそもこの映画は、大分が舞台という部分も、「生きること」みたいなことがテーマになっている部分も、自分らとつながるところがありました。例えばツアーに長く出て、帰ってくる場所が大分で。映画のストーリーとリンクする部分に共感しながら、歌詞をつくりました。
興味があることを、やってみることが大事
「若音」のように、地元の高校生が音楽イベントの主体となる取組について、どう思いますか?
ナガマツ
なんか、いいですよね。サポートしてくれる大人たちがいて、若者たちがやりたいことを形にできていく機会がある。すごく良い環境で、すてきだなと思います。
イワオ
高校生なんですよね?大学生の学園祭には呼んでもらったことがあるけど、高校生が、しかも大分で!考えてくれたステージだと思うとグッとくるものがあります。気合いを入れて演奏したいですね。
ヤマグチ
以前、キタニタツヤさんが佐伯に来ると知って。それがきっかけで「若音」のことを知り、「すごいな。いつか呼んでもらえたらな」と思っていたので、実現してすごくうれしいです。
若い時に、体験しておいてほしいことは?
ナガマツ
まっすぐに、好きなことを何よりも絶対優先すること。それがいちばん。
イワオ
そう。今、僕たちは20代後半で、何でもできる年齢ですけど、それでも10代の頃の吸収率とは全然違う。興味があることをとりあえずやってみる、見てみる、聞いてみること。恐怖心の無さが10代の強みだと思います。

ナガマツ
大人になったら自分の責任だけど、まだ若いうちは誰かが助けてくれる。だから楽しいことをして、間違える、そしてまた楽しむ…それを繰り返していけばいい。
ヤマグチ
だから楽しんで!それがいちばん。
イワオ
がんばってください!
ヤマグチ
(楽屋のモニターから、オープニングアクトの高校生たちのリハーサルが聴こえてきて…)すっごい、(メリールーを)カバーしてくれてる!うれしい!!
