
2015
3月 東九州自動車道佐伯~蒲江間 開通
3月 市制施行10周年記念式典を開催
5月 佐伯市歴史資料館・佐伯市城下町観光交流館開館
7月 小野正嗣氏(芥川賞受賞)に新市初となる市民栄誉賞を贈呈
7月 県南部を震源とするマグニチュード5. 7の地震が発生、鶴見で震度5強を観測
11月 大相撲力士 嘉風雅継(大西雅継)氏に市民栄誉賞を贈呈
全国:2015年10月 マイナンバー制度運用開始




2016
全国:2016年4月 熊本地震
2017
1月 渡辺一平選手(佐伯鶴城高校出身)が200m平泳ぎで世界新記録樹立
6月 祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク登録決定
9月 台風18号による記録的豪雨
11月 九州オルレ「さいき・大入島コース」認定

2018

9月 観光協会がゆるキャラ「佐伯ごまだし大将」発表
11月 西日本B-1グランプリ開催
2019
5月 佐伯市総合運動公園内に屋内運動広場が完成
10月 第3 3 回国民文化祭・おおいた2018、第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会開催
全国:2019年5月 天皇陛下が即位し、「令和」に改元

2020
3月 「さいきオーガニック憲章」制定
4月 女島津波避難タワー完成
7月 さいき学校給食センター完成
10月 さいき城山桜ホール開館
全国:2020年1月 新型コロナウイルス感染拡大




2021
2月 佐伯市民大学「令和四教堂」開講
3月 長島防災高台完成
8月 東京2020パラリンピック聖火フェスティバル 採火式


2022

3月 佐伯ごまだし100年フード認定
8月 全国乾しいたけ振興大会
10月 さいき城山桜ホールグッドデザイン賞
11月 豊後二見ヶ浦遊歩道完成
全国:2022年4月成人年齢が20歳から18歳に引き下げ

2023
3月 「佐伯城跡」国指定史跡に認定
3月 ベトナムニンビン省とMOU締結
10月 全国シクロサミット
全国:2023年3月 野球日本代表「侍ジャパン」WBC世界一


2024

3月 さいき城山桜ホール利用者100万人達成
11月 佐伯市誌完成
全国:2024年1月 能登半島地震
全国:2024年7月 20年振りに新紙幣が発行
2025年に市制20周年を迎えます。


田中 利明市長
2005年3月3日、1市5町3村が合併してから20周年を迎えました。これからも皆さんが幸福を感じられる市政を行うにあたり、“芸術文化”の力も重要と考える田中市長が、大分県出身のバイオリニスト・廣津留すみれさんと対談しました。
ヴァイオリニスト 廣津留 すみれさん
大分市出身。12歳で九州交響楽団と共演、高校在学中にニューヨーク・カーネギーホールにてソロデビュー。ハーバード大学(学士課程)卒業、ジュリアード音楽院(修士課程)修了後、ニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業。現在は日本を拠点に世界各地で演奏活動を行う傍ら、教育活動、TV出演など多方面で活躍しており、著書も多数。3月9日の市制20周年記念式典記念コンサートに出演。
芸術とオーガニックシティ
市長
佐伯市には何度か来ていただいていますが、印象はいかがですか?
廣津留
大分は魚がおいしくて自慢だと思っているのですが、中でも佐伯で食べる魚は全然違いますね! それから〈さいき城山桜ホール〉を初めて訪ねた時、コンサートだけではなく、普段から皆さんが様々な目的で使っているのを見て、芸術が身近にある環境がすごくすてきだと思いました。
市長
ありがとうございます。市制20周年を迎えた今を樹木に例えると、20年分の年輪ができたことになります。山間部、海岸部と市街地、それぞれに異なる歴史と文化が合わさった合併当初こそ違和感がありましたが、今ではすっかりなじみ、これから新しい佐伯市が出発するための基礎ができたと感じています。今後は、まちづくりのために“芸術”の振興にも取り組みたいと考えているところなのですが、廣津留さんは、こどもの頃からバイオリンが好きでしたか?
廣津留
家にお客さまが来た時にバイオリンを弾くと「小さいのにすごいね!」って褒めてくれるので、人前で演奏することがすごく好きだったんです。皆さんに喜んでもらえることが、モチベーションになっていました。
市長
音楽以外も含め、どのように芸術と関わってこられましたか?
廣津留
小学生の時に初めて歌舞伎座で『棒しばり』という演目を見て以来、すっかり歌舞伎が気に入ってしまって。劇場の中で幕の内弁当を食べられるし、着飾って行く場所でありながら大衆のための見やすい演目も多くて、とても好きでした。また、大分県ではアルゲリッチ音楽祭が開催されていますよね。こどもながらに自然と芸術に触れられたことは、私の大きなバックグラウンドになったと思います。
市長
では、今の廣津留さんにとって、芸術とはどんな存在ですか?
廣津留
幅広いジャンルがある芸術の中でも、私にとっては音楽が軸で、ご飯を食べたり歯磨きをしたりするのと同じくらい、バイオリンは日常に溶け込んでいるものです。

市長
佐伯市は、2022年に5か条の〈さいきオーガニック憲章〉を制定しました。その中に“心や体がよろこぶことをします”という一文がありますが、心を豊かにするには、まさに日常に芸術文化が必要です。そして“みんながつながる”ためにも。近年は外国人の居住も増えていますが、出身国によって言葉が違います。そんな中で共通言語になるのが芸術だと思うのです。
廣津留
そうですね。言葉が通じなくても、音楽というメッセージは必ず伝わります。ですから私は、地球市民として演奏することを心掛けています。ロールモデル※1はヨーヨー・マさん。彼は、気候変動や社会問題に対するメッセージやマイノリティの声までも音楽に乗せて発信しています。
市長
さいきオーガニック憲章制定の翌年には、〈文化芸術振興計画〉も策定しました。皆さんに芸術文化を楽しんでいただくための理念や施策を2027年までの目標として打ち出したものです。その一環で展開してきた桜ホールの事業がこれまでに42本あり、そのうち市民の皆さんのニーズをくみ取った事業が10本ありました。また、こどもミュージカルを始め、SAI KI第九プロジェクトや小中高生のダンスなど市民の皆さんが自己表現できる舞台にもなっています。
※1 目標や模範・価値観を示す人のこと
人材育成にも芸術の力を
市長
昨年3月に桜ホールの来館者が、100万人を突破しました。イベントのほかキッチンカーを楽しみに来る人もいて、人と経済の動きが活発になってきたのを見ると、大きな波及効果を感じています。開館以降、ホール周辺などに飲食店も増えましたしね。桜ホールを大学に見立てた〈佐伯市民大学〉も開講し、人材育成の場にも活用しています。これには幅広い年代の方が参加してくれているんですよ。

廣津留
教育の観点からお話しすると、芸術には、今の教育に必要なものがたくさん含まれていますよね。例えば、コンサートではオーケストラと一緒に30分以上の超大作を演奏することもありますが、曲を完成させるまでのプロセスには正解がなく、ゼロからつくっていきます。そんな中で自分はどういう練習をするのか? あるいはどんなリーダーシップを取ってオーケストラをまとめていくのか?答えのない問題の解決策を見つけるため、脳のいろんな部分を使って想像します。想像力を駆使すると、人が何を考えているのかをイメージする「共感力」も育ちます。そういう意味で、芸術に触れることは今後、非常に大事だと思います。
市長
残念ながら現在、教育を取り巻く環境においては、人間としての生きる力が育っていません。ですから、逆境に弱い若者たちが増え、ストレスにもさらされています。生きる力を強くするには、脳を刺激して多幸感を持つことが大切ですが、そこに働きかけるのが感性に作用する芸術文化だと思うのです。スポーツも同様ですが、感じることも大
切です。今後は、自己表現ができる教育を進めてまいります。
芸術が生み出す効果とは?
市長
芸術振興に力を入れることで、地域経済に循環が生まれることや、同じ興味を持つ人同士でコミュニティができていくことにも期待しています。
廣津留
例えば音楽祭のような催しに、地元の内外の人が集まるまちづくり事例が有名ですよね。仙台の〈せんくらフェスティバル〉※2では、地元のボランティアの皆さんがいろいろな形で関わってつながっていますし、音楽祭としての形が醸成されると、アーティスト側も「行きたい!」という気持ちになります。
※2 仙台クラシックフェスティバルの通称
市長
近年は、〈佐伯港街バル〉が好評なんです!昨年は5,000人も来場しました。これも市民発案のイベント。ぜひゲストに来てください!
廣津留
はい、行きたいです!
市長
今後は“ウェルビーイング※3”…つまり、健康と美、長寿を実現する社会をつくりたいと思っています。スポーツや運動で体を、芸術で心を健康にすること。そして、自然の美しさを守ってシビックプライド(市民の誇り・愛着)を育てること。さらに、授かった命を安心して全うし、長寿を喜べる幸せなまちを実現したいです。最後に、廣津留さんから市民の皆さんにメッセージをお願いできますか?
※3 生き生きと働き、健康を維持し、幸せや充実感を感じて身体的、精神的、社会的に満ち足りた状態
廣津留
まだコンサート未経験の方もいると思いますが、芸術以外のことにおいても“とりあえず一歩踏みだす”ことが大事。そもそも、長く生きていると新しい経験って減っていきますよね? それでもまだ知らないことがあるということは、幸せなこと。何でも良いので、心配するより先に行ってみると、全く違う世界が開けると思います。私自身、“とりあえずやってみる精神”で、いろいろなことにトライしていきたいと思います。
